クラッカー食パック

クラッカーパックは戦闘糧食II型の中で唯一  主、福食が1パックに詰められている糧食セットです。
もともと戦闘糧食II型の開発段階では、クラッカーを主食としたメニューが6種類ほど開発されていたのですが、隊員からの評価があまりよくなかったらしく、開発段階で殆ど姿を消してしまいました。
その理由はもちろん、パンならばともかくクラッカーを食事と見る風習が日本には無かったからですが、それでは何故1種類だけとは言えクラッカー食が採用されたのでしょうか?
この答えは米パックの弱点にありました。
米パックは製造されてから日が経つと澱粉がβ化してしまい、そのままでは食べる事が出来ません。 そのため隊員に配給する時は事前に米パックを一度湯煎に掛け、食べられる状態にしてやらないといけないのですが、自衛隊は有事の際、常に即応出動を余儀なくされます。注1
まさに一刻を争う場合に、全隊員に配る米パックを悠長に温めている余裕は無く、そのような時に役に立つのがこの加熱不要で食べられるクラッカー食なのです。
(ちなみに加熱不要なので主食と副食を1パックに詰める事が出来、配るのも一袋をドンと渡せばよいので配給もスピーディー)
また常に最悪の場合を想定しておかなければいけないので、例えば何らかの理由でお湯を沸かせない場合も有るでしょうし、米パックが員数分足りないといった事も想定して、このクラッカー食は糧食メニューから外せないのです。

そしてこれは想像ですが、日本食に馴染めない外国の部隊に食料を援助する場合も、このクラッカー食は結構役に立つのではないでしょうか?

ちなみに最近の若い隊員には、クラッカー食はかなり好評な様です。

注1 実際には部隊が動き出すのに最低でも1時間近く掛かってしまうため、糧食を準備する時間がまったく無いわけでは無いのですが、まずは情報収集のために派遣される先発隊には、やはりクラッカー食が優先して配給されるようです。

クラッカー食の歴史

防衛庁技術研究本部第二研究所では、クラッカー食は当初、食パンを乾燥させたラスク状の物が研究され、中に干しブドウなどを練りこんだ物など、数種類がテストされました。
しかしラスク状のクラッカーは衝撃に弱く、潰れると文字通り粉々になってしまい、あまり戦闘糧食向きでは無かったようです。 
日本人の嗜好にあわせて、パンに近いラスクに拘ったために失敗してしまったようですね。

そして当時、既に米国ではMREが使用されていて、結局そのMREに入っていたクラッカーを真似たタイプを採用する事になりました。

しかしこのタイプのもっさりしたクラッカーは日本人には馴染めず、数年で変更になります。

次に採用されたのは、日本人にも馴染みの深い乾パンでした。
ただし、既にI型にも乾パン食はあるため、海上自衛隊と同じ、大型乾パンを採用する事になります。
もともと乾パンはドイツのビスケットを元に作られた物ですし、旧軍からの歴史もありますから、これは良い選択だったはずでした。
しかし、巷を見回してみると乾パンを食べている若者などどこにもいませんし、市販品にちゃんとした美味しいクラッカーがあふれている訳ですから、これを利用しない手はありません。

さらに数年後、今度は人気のある市販品相当品を採用し、現在に至っています。


中身の比較 
左-旧型クラッカー  上-現用クラッカー  右-大型乾パン   


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現用のクラッカーは、山崎ナビスコのプレミアムクラッカーと同等品。
(製造会社も同じ山崎製パン株式会社)


クラッカー食は、中身のクラッカーが変更されると同時に付属品の組合わせも変わります。
どのように変化しているかは、各メニューごとのレポート(一部工事中)を参照してください。


各クラッカー食のレポート