趣味レーションOFF 2008
レポート
世の中は空前の「戦闘糧食」ブーム。
ゲームセンターには戦闘糧食II型仕様と銘打ったクレーンゲームが出現したり、
戦闘糧食を紹介した専門書も、各社から出版されている。
ところが、実際に兵隊さんが食べているホンモノの戦闘糧食を、
我々民間人が口にする機会は滅多になく、それどころか入手すら難しいのが現状だ。
最近はインターネットの出現により、ちらほらネットオークションなどで他国の戦闘糧食を見かけるようにはなったが、
レアなアイテムであり、海外からの輸入品という事もあるので、
結構な値段を出さないと落札も難しいのではないだろうか?
でも食べられないとなるとどうしても食べたくなるのが人のサガと言う物
そこで、そんな有志が一堂に集い、世界中の戦闘糧食を食べてみようと、
さる5月29日、
戦闘糧食試食会が催される事になったのだ。
毎年レアなレーションを数々試食してきた「戦闘糧食試食会」だが、
今年は初の屋外開催で、今までやれなかった様々な事にチャレンジすることになった。
だが・・・
当日は朝から激しい雨が降り続き、とても屋外での催しは難しいかと思われた、
しかし兵隊は天候に関係なく外で戦闘糧食を頬張り、体力をつけて戦いに挑むもの。
レーションを食べると言う事は、兵士の戦場生活を追体験をすることに繋がるのだから、
我々も多少の雨に尻尾を巻いて中止するわけには行かない。
ところが開始時刻が近づくと驚くことに、アレだけ激しかった雨もすっかり止んでしまい、
なんと !
予定通り開始する事が出来てしまったのだ。
こうしてレーションOFF2008の幕は開いたのである。
今回の屋外開催に際して、どうしてもやりたかったのがUGR試食。
UGRとはUnitized Group Ratioの略であり、グループレーションの名が示すとおり、大人数の食事が纏めて梱包されたレーションのこと。
携帯用の戦闘糧食と異なり、缶一個の容量が大きいので、
とても個人で消費できる量ではない。
今まで開ける事すらできなかったこのUGRを、
今回は初めて喫食することが出来るのだ。
もうこんな機会は二度と来ないかもしれないぞ。
さて、UGRと言っても実は様々な種類があり、
基地で食べるギャリソンレーションの一種であるUGR−Aから、
缶詰主体のUGR−B
戦場で支給されるUGR−HSなどがある。
その昔はトレー入りレーションなので
T−Rationと呼ばれていた
しかしながらダンボール数箱で構成されるUGRのオリジナルを入手する事は難しいので、

バラバラに入手した様々なUGRアイテムを使い、1食分のメニューを構成してみた。

まず食器類であるが、コレは実際にUGR用として使用されている紙製のトレーとコップ、
さらにプラスティック製スプーン、フォークナプキンセット(調味料などもセットされている)を使用している。
今回用意したメニューは

メインミールのビーフシチュー、

肉汁煮ソーセージ、

マッシュポテトとグレービーソース。
これらは特殊トレー入りの物だ。
さらにUGR−Bに使われている、フリーズドライの牛肉も開封してみた。


これはそのまま食べる物ではなく、一旦お湯で戻してから調理して食べる物で、
今回はお湯で戻した後にグレービーソースで煮て調理してみた。


ワッフルはブルーベリーとシナモンフレーバーを試食。

デザートのチョコレートケーキはUGR−Aの物で原色の☆型チョコレートがトッピングしてある、見た目からアメリカンな代物だ。
配膳風景






くどいようだが、これら全てホンモノのUGRレーションだ。

ジュースは粉末が缶入りになったオレンジジュースと粉末チェリージュース。

そして小型フルーツの缶詰やピーナッツバター、グレープゼリー、イチゴジャム
さらにステーキソースやホットペッパーなどの調味料が付属する。

盛りつけると、このような感じである。

実際に基地で食べられているホンモノのUGR-Aと、参考のために比較してみよう!
CK潜入記
さて、気になるお味のほうだが、ビーフシチューは野菜もお肉もトロトロで、素材の旨味が最高のダシとなり絶品。
ソーセージは少し塩気が強いが、マッシュポテトが薄味なので一緒に食べると相性が良く、幾らでも食べられそうだ。

フリーズドライのビーフはお湯で戻して調理しても少し堅い物の、ちゃんと元の肉の状態に戻っており、
噛締めるたびに肉の旨味や牛肉独特の臭みのような物までしっかり再現されていたのには驚いた。
たぶんもう少ししっかり煮込めば、肉ももっと柔らかくなるのかもしれない。
ワッフルはどちらもほんのり甘味が付いており、少しパサパサしている物の悪くない味。
そして何より人気が高かったのがチョコレートケーキで、しっとりコクのあるスポンジが最高!
表面の毒々しいデコレーションから甘たるいケーキを想像したが、甘味の中にも深みがあり、これは美味しいと評判だった。
フルーツは日本で食べる物より薄味と言うか甘味抑え目で、アメリカ製にしては珍しい。
付属のジャムやピーナッツバターもそうだが、アメリカ製のどれもが甘ったるい訳ではなく、ちゃんと素材の味を楽しめるものもあるのだ。
ホンモノの米兵が食べてもお腹一杯になりそうなボリュームのUGRを平らげても、まだまだ試食会は始まったばかり!
次はロシア軍戦闘糧食に挑戦。

これは前回OFFでも試食したが、一パックが1日分になっており、穀物のカーシャやビスケットなの、炭水化物系が多いのが特徴。

缶詰を温めて早速試食してみた。
ミートムースパテは柔らかく、ビスケットに乗せて食べるとうまい。
しかしビスケットは少し湿気っておりパリッとした歯ごたえは残っていなかった。

ビーフの塩茹では少し肉の臭みはあるものの、お肉の繊維がホロホロと崩れるほど柔らかくなかなかいける。
カーシャは蕎麦の実とお米の二種類用意されており、どちらも湯煎してから食べたが、
驚くほど油が多く、4Cmほどの厚みの缶であるのに関わらず、底のほうに5mm程の油が残ったのには驚いた。
それだけ寒い国に住む人たちにはカロリーが必要なのだろう。
そして中国軍の90圧縮干粮も試食。

中国は国土が広大なので地域により取れる作物も違えば米食、麺食など食文化も違うため、
この90圧縮干粮が野外で喫食する戦闘用野戦口糧の主食となっているのだ。
まるで救難非常食のようなカロリーバーだが、基本的に冷えた食品を口にしない中国人もこれなら冷えたままでも食べられると言う訳。
甘くて口溶けの良いクッキーのような感じだ。
少しお腹が落ち着いてきたので、ココでTheRationHP管理人さんにより、第二次大戦のアメリカ軍戦闘糧食講座が開かれた。

今では入手が本当に困難な、60年以上前の実物K−Ration各種をはじめ、C−Rationも中身まで見せていただき、

さらにD−Ration、パイロット用の航空ランチや缶入りサバイバルレーションなど、どれも博物館でもお目にかかれないような代物ばかりを見せていただくことが出来た。

実物がまじかに見られるなど、
これもココに来た人しか見ることは出来ない、貴重な体験だ。
さて、その後ちょっとしたお遊びを参加者の皆様にご披露することに。
最近YouTubeなどでMREと検索すると、MREbombという映像がヒットする。
これはMREに付属するレーションヒーターを使ったいたずらで、500mlのペットボトルの中に水と一緒にヒーターを入れて蓋をすると、
中で高温となったヒーターの熱で水が沸騰して高圧力になり、最後にはペットボトルが破裂すると言うお遊びだ。
これも屋外でなければ出来ない遊びなので、早速チャレンジしてみた。
流石にペットボトルは丈夫なので、簡単には破裂せず、おや?不発かな??と気を抜いた瞬間!「ボン」という破裂音と共に、水蒸気が噴出した!!

(ボトルが裂けると言うより、変形して蓋が飛んでしまう)
これには参加者も大興奮で、結局1.5リットルのペットボトルまで持ち出して、ずいぶん盛り上がった。

(爆発直後のペットボトルは熱くて触れない)

その後、参加者持ち寄りに寄るレーション個人即売会も行われたり、

また今回はサープラスショップの東京キャロルさんも参加していただいたので、激安!セールも行われ、
イスラエル軍やイタリア軍、初期型MREなど、ずいぶん安く珍しいレーションを入手する事が出来た。
これも参加者の皆さんには大好評だったようだ。
さてさて、少しお腹もこなれてきたので、次はカナダ軍のレーションを試食することに。

今回はビーフ&ベジタブルシチューをメインに桃のプディングやパイナップル、
どれも参加者には美味しいと好評で、あっという間に完食!
また今回はキャロルさんがカスタム電動ガンの試射ブースも設けてくれたので、様々なカスタム電動ガンを撃つ事も出来たのだが、

折角屋外なのだからと、ミニサバイバルゲームを3ゲームほど行う事も出来た。

装備の関係で全員参加とは行かなかったが、久しぶりに全力で野山を駆け回ることも出来て、本当に戦場にいる気分でレーションを食べる事が出来た。
サバイバルゲームをしている間、他の参加者は20年ほど前の初期型MREの体験試食を行い、
現在のMREとの違いや、MREの耐久性などを実際喫食することで体験していたようだ。
これも意外と問題なく食べられたとの感想だが、考えてみれば恐ろしいチャレンジでもある。

(ゲーム参加のため写真を撮っていなかった・・90年MREイメージ映像です)
さて、実は参加者の方が見慣れないレーションを持ってきたので、中身を開封して調べてみる事となった。

どうやらイギリス製と言う事だが、イギリス軍にこのようなレーションを使っている記録がないので、イマイチ良く分からない??
そこで中身を色々と見てみると、ある面白い事に気が付いたのだが、どうやら市販品をグリーンの塗装で塗っているようなのだ。
そして決定的だったのがある一部のアイテムにBCBの文字が!
これはどうやらイギリスのアウトドアやミリタリーグッズを扱うBCBという民間会社が製造したレーションのようだ

LINK
謎も解けたところで、次はスペイン軍レーションの試食!

実はスペイン軍の試食は今回のOFFが初めてで、僕自身も二回目の経験なので、かなり期待していたのだ。
スペイン軍レーションは実に軍用レーションらしいパッキングが特徴で、見た目もかっこいいが、
さらに1日に5食は食べると言われほど食に対してこだわりを持つ国でもあるため、内容的にも非常に楽しみ。

早速開封してみると、やはり期待を裏切らない素晴らしい内容だった。


ソーセージのトマトソース煮や

ミートパテ、桃のシロップ漬けも当然美味いが、
タコのオリーブオイル煮はスペイン戦闘糧食でしかお目にかかることは出来無いだろう。

無論噛締めるほどにタコの旨味が染み出す、激ウマの一品だった。
少し薄暗くなってきた所で、またまた面白実験をしてみる事に。
今度はピーナッツバターにまつわる伝説の検証だ。
ベトナム戦争の頃、冷えたレーションを食うのに飽きた兵隊が、レーションに入っていたピーナッツバターを燃やして、ヒーターの替わりにしたという伝説だが、
果たしてピーナッツバターは燃えるのか??

早速実験してみた所、やはり油分が多いため、実際に燃やす事は可能だった。
ただしピーナッツバター本体は燃えにくいので、ティッシュなどを紙縒りにして芯を作り、
そこに火をつけてやるなど、紙と一緒に燃やすと良く燃えることが分かり、コレならレーションの空き箱などを利用すれば、
十分レーションの缶詰を温める事が可能だったと思われる。
周りもすっかり暗くなり、遠方から来られた参加者の帰りの時間が迫ってきたので、これが最後の試食となる MCWの試食で幕を閉じる事に。

MCWはアメリカ軍用寒冷地向け戦闘糧食であり、高カロリーで寒冷地で凍らないように一切の水分を含まない乾燥食品のみで構成されたレーションである。
雪の中で目立たないように全て白いパッケージにつ詰められているのも特徴だ。
さて、まずはフリーズドライのメインミールでるスパイシーチキンライスをお湯で戻さなくてはならない。

これは上手くやらないとビチャビチャになったり、芯が残ったり難しいのだが、今回は時間が迫っているので、
多目のお湯で急いでも戻した為、案の定表面がドロドロの割りに芯が残って、食感は良くなかった。


味は少し塩辛い物の具材も多く、様々な味がして中々美味い物だったが、時間をかければさらに美味しく食べられたであろう。
コスプレあり! 雑談あり!

このような感じで今回も内容盛りだくさんで盛り上がったOFF会だった。

参加者の皆様、お疲れ様でした!!
次回は来年になると思うが、さらに盛り上がる企画を立てて参加者の皆さんを満足させる事が出来るように今から企画を練っているのである。
来年は是非皆様も参加して、世界中のレーションを試食してみませんか?